屋根のQ&A
新築 増改築 修理 トラブル
 
Q 瓦の形や色は何種類あるの。
A 日本工業規格(JIS)は、瓦(粘土瓦)の種類を、製法、形状、寸法によって、次のように区分しています。
製法による区分:釉薬瓦、いぶし瓦、無釉瓦(含塩焼瓦)の三種。
形状による区分:J形、S形、F形の三種。(三種いずれも、基本形となる桟瓦を中心に、葺く場所・用途によって、軒瓦、袖瓦、のし瓦、冠瓦など4~5種の瓦が組み合わせられる)
寸法による区分:J形(6種)、S形(2種)、F形(1種)
  この他に、それぞれのメーカー独自の色がありますので、順列組合せをするだけで、アッという間に数百種になってしまうことがお分かりでしょう。現在、当組合のメーカーが製造している製品の全種類を数えると、総数1200~1300種に上ると考えられています。
Q 瓦は新築から何年もつの、また補償期間は何年?
A 地域の気候風土によって多少の違いはありますが、瓦は殆どメンテナンスなしに(もちろん割れなどの補修が必要です)、最低30年は大丈夫です。製品によって、色あせのような劣化は若干見られますが、機能(性能)的には、何の問題もありません。
  3~5年に一度、「必ず」色の塗り替えをしないと機能が落ちてしまう金属屋根やスレート屋根に比べ、瓦の優位性は揺るぎません。もちろん、メンテナンスいらずとはいえ、長い間には、瓦がズレたり、割れたりということがありますので、専門の工事屋さんにチェックしてもらう気遣いが必要です。
  ちなみに、新築の場合、住宅性能表示制度を利用すると、10年間は保証されます
Q 新築時の瓦屋根に耐風、耐震の基準があると聞いた。それは何。
A  「ガイドライン工法」のことです。平成10年(1998年)、建築基準法が改正され、災害に強い家づくりが決められました。新築から10年間建築工事会社に、家の品質保証を義務づける「住宅品質確保促進法(品確法・平成12年施行)」なども、建築基準法改正の主要な柱の一つになっています。
  この改正を受けて、瓦メーカーの全国組織である全国陶器瓦工業組合連合会、屋根工事の全国組織(社)全日本瓦工事業連盟、独立行政法人建築研究所等、屋根に関する民間団体が一致協力して設定した基準が「ガイドライン工法」です。
  「ガイドライン工法」は、台風や強風時にも飛ばない瓦屋根、阪神大震災クラスの大きな揺れにも決して落ちることのない強い瓦屋根という厳しい基準を設定して、「災害に強い家づくり」を行うものです。したがって、今後これらの組織に加盟している会社で新築を行えば、台風や地震の時でも安心してお過ごしいただけるようになりました。
Q 瓦屋根の家を新築したい。チェックポイントを教えて。
A おめでとうございます。どのような家を新築されるかについて、全く情報がありませんので、新築の際に気をつけなければならない点について、いくつかのポイントを上げましょう。
  日本は、ご承知のように、台風や地震など自然災害の多い国です。建物のデザインもさることながら、大切なご家族を守る「安全」面を第一に考えて下さい。お宅が建てられる地方によって安全の基準が異なりますので、要注意地区の方は、他の地域よりいっそう安全対策に留意すべきものと考えられます。

【雨の多い地域】
  雨漏りは不快なだけでなく、家を長持ちさせる上で大敵です。雨仕舞をしっかりさせ、しかも換気が良く出来る点で、瓦屋根は、日本の気候・風土に最適な屋根材です。数百年前の立派な民家が、いまも堂々とした風格を保っているように、瓦屋根の家は、きちんと管理をすれば、二世帯(代)どころか、三世代~四世代まで長持ちします。

【風の強い地域】
  「瓦が何枚飛んだ」ということが、風の強さを比喩的に表す言葉として、長く使われてきました。しかし、そうした時代はもう過去のものとなりつつあります。というのも、2000年6月の建築基準法の改正によって、風速に応じたガイドライン工法が決められたからです。
  この工法では、風速46mの強風(時速248km、新幹線並み、50年に一度の大型台風)にも耐えられるような指示がされています。風速46mの地域は、日本全国の中でも沖縄県と鹿児島県の一部島嶼部に限られていますので、その他の地域は、これより低い基準になっています。新築の屋根工事の場合は、それぞれの風速に応じた基準が設けられていますので、この基準を守る工事になっているかどうかをチェックして下さい。

【耐震構造】
  日本は世界有数の地震国として知られていますが、「地震がいつ、どこで起きるのか」、いわゆる地震予知については、残念ながら、現代の最先端科学をもってしても不可能という結論が出ています。地下のマグマの動きを観察する「ちきゅう号」プロジェクトなどが進行していますが、正確な地震予知ができるまでは、あと数十年はかかると見ていいでしょう。したがって、地震については、ふだんからの心がけが大切です。地震が少ないといわれた関西で、阪神大震災が起きたように、日本全国どこでも大地震の起きる可能性がありますので、つねに用心を心懸けておきましょう。
  阪神大震災といえば、「瓦屋根は地震に弱い」という誤った風評が、マスコミ等を通じて随分と流されましたが、あの時倒壊した瓦屋根の殆どは、土葺工法といって、屋根の上に盛土をし、さらに瓦を乗せるという古くからある葺き方の民家ばかりでした。自然と重量の重い屋根が上に乗り、柱に筋交いの補強がなかったり、虫食いなどによってモロくなっている場合には、ちょっとした小さな地震の横ゆれでも危険になります。現在新築される瓦屋根で、こうした古い工法より、ガイドライン工法を推奨していますので、瓦屋根だから地震に弱いという根も葉もないウワサは、いずれも払拭されることになるでしょう。
  ところで、地震と木造建築の耐震性についてですが、驚くことに建築基準法では、必ずしも明確に決められているわけではないのです。
[建築基準法 20条]
  「建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対しては安全な構造でなければならない」
[同法施行令第39条]
  「屋根ふき材、内装材、外装材、帳壁その他これらに類する建築物の部分及び広告塔、装飾塔その他建築物の屋外に取り付けるものは、風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によって脱落しないようにしなければならない」
  これだけでは、どのようにしたら耐震になるのかハッキリしません。平成12年の建設省告示第1457号(「屋根ふき材等の構造耐力上の安全を確かめるための構造計算の基準を定める件」)でも、複雑な計算式が決められていますが、木造2、3階建の低層住宅に適合する部分が少ないため、瓦工事業者では、自主的に標準となる工法を決め、それに従って工事を行うことにしました。これが「ガイドライン工法」です。ガイドライン工法では、一定水準以上の性能を保持することを決めていますので、ガイドライン工法を遵守する工事店に依頼するのが安心のためには必要です。(ちなみに、いわゆる悪徳業者でガイドライン工法を守っている所はありません。)

【雪の多い地域】
  日本で雪の多い地域というと北海道がスグに想い起こされますが、日本海側の豪雪地帯も、積雪量では決してヒケをとりません。しかしながら、北海道では金属系の屋根が殆どを占めています。おそらく瓦屋根→重い→積雪でさらに重くなる、といった連想が、軽量といわれる金属屋根を普及させた要因でしょう。しかし、この理由にはあまり根拠がありません。寒さを防ぐ断熱性では、瓦屋根の方が断然上ですし、豪雪地帯として知られる秋田や新潟、金沢、福井などで、特別金属系屋根が多いということもありません。また、世界的に見ても、雪の多い国として知られる北欧3国やデンマーク、ドイツなどでは、瓦屋根が殆どです。  こうしたことから、雪の多い地方では、地域にふさわしい強化工法を施しさえすれば、十分優美な瓦屋根の家を新築することができます。地域で古くから営業していて、ノウハウの蓄積の多い専門工事業者のアドバイスを受けましょう。
Q 瓦屋根の家は高くつくといわれた。本当の所教えて。
A これは、屋根の価格を最終的にどのように考えるかの問題です。屋根は、一日で消費する生鮮食料品などと違って、非常に息の長い「商品」です。瓦屋根の商品の寿命は、ふつう30年といわれていますので、それを基準に考えると、その価格の中に次のようなものが含まれているのが分かります。
新築(あるいはリフォーム)時の屋根の代金(材料費と屋根工事費、いわゆるイニシャル・コスト)
メンテナンス費(30年間の間に必要とされる改修費、補修・修理費)
冷暖房費など30年間に必要とされるエネルギー費
高い、安いという議論は、これらすべてを合計した上で比較しないと正確な所は判断できません。
  瓦屋根は高いというご指摘は、おそらく上記の内の(イニシャル・コスト)だけを比較しているものと考えられます。瓦屋根は、金属系やスレートの屋根に比べ、多少の割高(10%~20%程度)になりますが、メンテナンス費、エネルギー費については、断然他の屋根材を引き離し、合計の差し引きでは、むしろ「安く」なります