カッコソウ保存会 短信10 2000.2.1
*広域基幹林道の建設に関し、新たな進展があったようてす。我々の調査の結果、一番重要なポイントであった「赤柴〜鍋足」間の建設にゴーサインが出たとのことでした。心配した新井糸江氏が県の関係機関に出向き話を聞いたところ、「建設ルートは最初の計画どおりで、なんの変更もない」とのことでした。県としては計画に先だって詳細な環境調査を行ったはずであり、我々以上の成果物があるはずです。
希少植物の分布やとくにカッコソウでは南面の自生が壊滅してしまっている現在、北面が最後の自生地であることも承知いていないはずはありません。それが「なんの変更もない」とは理解に苦しみます。調査の結果に蓋をして、建設計画を強行しようとするのでしょうか。また、これまで新開紙上をにぎわしてきた「市民団体」と自称するグループの活動や発表は、いったいなんであったのでしょうか。大々的に調査団を結成し、組織的な調査をやったからには20箇所以上ものカッコソウの自生地を発見したはずです。「カッコソウ・守られた‥」とする新開発表は一体なんだったのでしょう。もちろんカッコソウばかりでなく、川内町赤柴の山林はフイリタナオスミレの格別な宝庫となっており、他にもフイリヤシュウスミレ(これはまさに希少品てす)オクタマスミレ、ヒラツカスミレなど希少品種が自生しており、これらを承知の上で建設するのでしょうか。
*これまで桐生市には、カッコソウにかかわりを持った人々もいます。最後の、本当に最後に残されたカッコソウを含めた自生環境が破壊されようとしているのに、なぜ「知らぬ顔」を決め込んでいるのでしょうか。自らの利益・保身ばかりでなく、「自然環境に対する将来的な利益」の保全にも心を砕いてほしいものです。そうでなければ「自然保護」を口にする資格のなさを、自ら露呈するばかりではないでしょうか。林道が建設されたら、カッコソウはほんとうに無くなります。
*桐生タイムス元旦号には、筑波大・鷲谷氏の意見が掲載されていましたが、学術的な論点は「カッコソウを取り巻く生態系の保全」があってからの話が先です。このままでは鷲谷氏の意見は空論になる可能性さえあるのです。市民団体と称するグループが「川内町赤柴の林道ルート上でカッコソウ確認」とする新開発表をしたあとで盗掘されてしまいました。他の自生地も盗掘が始まっています。保存会は一個人を中心とし、さささやかな活動だけで精一杯な現状てす。桐生市農林課からは「たとえば道を作らないで、生活を全部補償してくれれば、それも一つの考えなんですがね‥」とおどかされてもいます。それでも「自生地が破壊されても、種の存続だけは‥」と願って活動を続けています。現状を黙認することは自然破壊を認めると同時に、カッコソウの生育する美しい郷土をも否定することにつながります。知者は身をもって行動してほしいものです。              2000.2.1.
       〒379-2304新田郡薮塚本町大原400−37
カッコソウ保存会 朝倉 陽一 0277−78−5790
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