カッコソウ保存会 短信13 2000 (H12).10.5

 *来年度活動用のカッコソウの苗が4日に届けられました.仕事面での不況から活動内容もやや低下し、苗の増殖も約700本程度に押さえることになりましたが、来年の移植前には根を切り取り「根伏せ」による増殖をし、計1,500本程度には増やしたいと思います.
 *標本として自宅で管理しているカッコソウを今春交配した結果、約400個ほどの種子ができました.これまでの実験結果(カッコソウばかりでなく、他の植物も含めて)では「ジベレリン処理」を施すと発芽能力がいちじるしくアップされることが確認されていますが、「へそ曲りの主催者」は一切の薬品処理を施さずに播種してまみました.母株は川内町赤柴の林道ルート上のカッコソウです。花粉は種子から育てたカッコソウのうち、花色のいちばん薄い個体を選びました。目標は「カッコソウの白花」作出です.以前は山にも自生していたらしいのですが、現在「これが鳴神山のどこそこに自生していたカッコソウだ…」と確定できる個体は皆無となっています。「幻のカッコソウの白花作出…」、これはロマンです。
 *昨年11月におこなった移植で、移植総数10,000本を達成しました.10周年も近いことから金銭面での総括です.1991年(平成3年)6月、会結成以来の寄付金総額は485,910円に達しております。これは純然たる寄付のほか、通信費名目の会費、親睦ハイキングの参加費やフリーマーケットの売り上げなど、カッコソウ保存会では寄せられた金銭は種類を問わずすべて寄付として扱っております(記録あり)。個人の負担としては年間の予算額は当初40〜50万円の間で推移していましたが、1998年からは半減させております。また、はがきや飲食物、移植や調査にともなう必要品を負担してくだった方もあり、これらの金残換算はしてありませんが記録はしてあります。ここに改めて報告し、感謝を申し述べさせていただきます。
 *昨年のカッコソウ自生調査のさい、移植地に我々が移植した苗と違った種類のカッコソウが植えられていることを発見しました。園芸愛好家が自宅で育てたカッコソウを植えてしまったものに間違いありません。それが明らかに嶋神山原産のカッコソウと証明できるもので、趣旨を同じくするものでしたら移植も構いませんが、それ以外のものは抜き去ることをここに明言しておきます。川内町赤柴の林道ルート上のカッコソウも、誰かが2種類を違う場所に混植しているのも発見しています。自然に自生するカッコソウを移動させるには、それなりの(徹底した)コンセンサスが必要なはずです。ひとりよがりの安易な移動であってはならず、このままでは後世に重大な汚点を残します。市がどうあってもカッコソウの自生環境に林道を通したいとしても、移動させるのは最後の最後です。皆さんの意見も聞かせてください。

 〒379−2304 群馬県新田郡薮塚本町大原400-37
 カッコソウ保存会 朝倉 陽一 TEL.0277-78−5790

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