カッコソウ保存会 短信17 2001.6.20

*5月13日、カッコソウの観察登山がおこなわれました。参加者は14名と少なめだったのですが、移植地のカッコソウは満開で、ゆっくりと開花状況を楽しむことができました。神社下移植地には実生からの苗も植えてあり、ぴっくりするほど美しい花が咲いていました。花の色は濃く、中心部になるほど色が薄くなる「ぼかし」状の花でしたが、16日の自生調査時にはそれを含めた色の濃いカッコソウだけが盗掘されていました。増殖する前だったのがなんとも残念でした。山頂部では差し入れのワインとビールで乾杯。帰路のコツナギ沢移植地では満開の花を前に、クラシック演奏家によるオカリナの独奏も披露されました。鳴神山系には年間を通じて万単位の登山者を迎えます。カッコソウの存在は鳴神山のシンポルとして、それぞれの登山者の目を楽しませてくれることでしょう。

*桐生市ではカッコソウの保護・保存に関しての調査がおこなわれるそうです。しかし、広域基幹林道の北面域変更にさいしては最高度の環境調査がおこなわれたはずです。その資料があるはずなのに再度調査するということは時間と税金の無駄遣い以外のなにものでもありません。さらに言えば、カッコソウの最後の自生地であることがはっきりしているうえに、各種希少植物の宝庫であることも承知しておきながら環境破壊をする桐生市に、自然の保護を言う資格があるのでしょうか。カッコソウは、桐生市が世界に誇れる花であるはずです。自らその最後の自生環境を破壊しておきながら保護・保存を言う姿勢には、厚かましさしか感じられません。「民間のボランティア団体も含めてどのように保護していったらよいのか研究したい」という話もありましたが、桐生市がカッコソウの最後の自生環境を広域基幹林道で破壊するかぎり、協力のしようもありません。それとも「環境破壊をしたあとの保護について研究したい」と市は言っているのでしょうか。それならそうとはっきり言うべきです。「カッコソウがあっても林道(広域基幹林道)は通します。もし反対を言うのであれば、林業者の利益を全額保証してくれという意見もあるのですがね」(桐生市N課長の弁)。これが桐生市の本心なのでしょう.あきれて言葉もありません。

*広域基幹林道周辺のカッコソウは、その数を激減させています。残された数が2本になってしまった自生地もあります。盗掘をまぬがれても広域基幹林道建設の犠牲になってしまいます。いったい市はどこまで環境破壊をすれば気がすむのでしょうか。


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