カッコソウ保存会 短信20 2002.9.10

カッコソウをはじめとする各種希少植物の調査が終了いたしました。今回は4月から6月までの間におこなったことから、成育状況に興味ぶかい観察もありました。

(報告)
 カッコソウ 
 フイリタナオスミレ 
 フイリヤシュウスミレ 
 クマガイソウ

南面域  331本 北面域 630本
南面域  36本 北面域  49本
北面域  20本
北面域  16本


フイリタナオスミレはもっとたくさんの自生を確認しているのですが、今春確認した分だけを報告しました。フイリヤシュウスミレはサクラスミレ×フイリフモトスミレ間の雑種と目されていますが、北面域にはサクラスミレの自生をほとんど確認していません。以前に南面域で発見したものと比較しても形態に異なるものがあり、今回発見したものの片親は、フイリフモトスミレまたはヒメミヤマスミレの可能性があります(北面域にはヒメミヤマスミレの自生がとても多く、一見するとフイリフモトスミレによく似ていますが、観察に注意力が必要です)。もう片方の親としてはヒナスミレまたはフイリヒナスミレ、アケポノスミレなどが考えられますが、時間をかけて観察と考察をしていきたいとおもいます。
調査の下山には広域基幹林道建設現場の下部を通過することになりました。直経2m以上の岩が目の前に落下しており、それは杉の大木をなぎ倒すほどの迫力でした。広域基幹林道の完成は、カッコソウの自生環境の破壊を意味します。それは「絶滅」という言葉にもっとも近い状況をまねくでしょう。

〒379-2304 群馬県新田郡薮塚本町大原400-37
カッコソウ保存会 朝倉 陽一 0277-78-5790

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