カッコソウ保存会 短信25 2004.10.20


*2003年度のカッコソウの自生調査では、自生総数1194本との結果が出ました。2002年度の自生量は961本でしたから数の上ではあまり変化がないようにみえますが、実際には増えた自生地もあればあと数本盗掘されれば「種」としてのカッコソウが完全に消滅してしまう自生地もあります。本年度の自生調査では1317本との結果が出ました。平日にもかかわらず参加してくださった協力者にはこころより感謝申しあげます。

*短信23では「今後は親睦ハイキング、モニタリング調査、移植地の数量調査に限って活動したい…」と報告しましたが、今年度まではバイオによる増殖を続けました。これは活動内容を心配してくださる方の励ましがあったからですが、じつは移植地の盗掘もあまりにもひどいことから移植地や、その方法を変更しようと考えております。

*昨年軟おそくに、鳴神山に登りました。雷神岳神社下・ダルマ岩下部移植地にも足を向けたのですが、一見してなにかがおかしいことに気付きました。カッコソウの枯れた葉がほとんど見られなかったのです。子細に確認作業をおこない、それが徹底した「盗掘」の結果と断定したときのショックは大きなものでした。移植したカッコソウが持ち去られることくらいたいしたことではありません。これまでの10数年にわたっての人々の好意や期待が裏切られたことがショックだったのです。これまでにも「大盗掘」は経験していますが、この移植地はとくに他の登山者の目に触れることも多く、内容的にもうまくいった場所だっただけに、ショックは大きかったということです。

*本年度の自生調査が終わった後にも、ダルマ岩下部移植地が相当数減少しているとの報告を受けました。「盗まれない場所がどこかにないか…」と、考え込む日々です。

*カッコソウ保存会として声をあげ、この13年間に約12,000本の苗の移植を続けてきましたが、かなりの数量が持ち去られてしまっているという事実は、確実に商売や栽培を目的とした需要があるということを意味します。「もしカッコソウ保存会の活動がなかったら、自生するカッコソウのほとんどすべてが失われてしまったろう…」とまで言い切ることはできませんが、自然のカッコソウに対するささやかな「防波堤」にはなっただろうと信じています。しかし、それも広域基幹林道の建設によって想定される環境破壊からは守ることはできません。

*順序が逆になってしまいましたが、カッコソウ保存会からの連絡や、親睦ハイキングの計画などができずに申しわけありません。あまり自分ごとは言いたくないのですが、本業の廃業にともなった生活のため四苦八苦している状況ですので、以前のような連絡のできないことをお詫びします。しかし、会活動の基本である自生調査は完全に続けようと思っておりますし、バイオによる増殖とその活用方法は苦しいながらも続行したいと考えております。今後ともご支援ご協力、よろしくお願いいたします。

〒379-2304 群馬県新田郡薮塚本町大原400-37
カッコソウ保存会 朝倉 陽一 0277-78-5790
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